【9/29 第28節】神戸vs鹿島「一人一人がチームのために這いつくばって(大崎選手)」

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気の滅入るニュースばかりでサポの皆様は辛い思いをされているかと思います。

かく言う私も気分が晴れない日々が続いております。注目度が高くなったゆえに周囲にとやかく言われる、サポの中でも「前のヴィッセルのほうがよかった」なんて意見も出てくる始末。

気持ちはわかりますが、ここでサポもバラバラになるのは良くありませんよね。

まあチームの不調が続くとサポとしても悪いことにどうしても注目してしまいますが。。。

「選手の覇気が感じれない」と言われていますが、サポでこんな想いになるのであれば、選手達の歯がゆさはきっと相当なものでしょう。

簡単に切り替えられないので4連敗もしてしまうのでしょうから、相当な覚悟で鹿島アントラーズ戦は望まなければ本当に状況が厳しくなります。

イニエスタ選手が出るとか出ないとか、そんなこと関係なくチームとして勝利を掴み取れるヴィッセル神戸であってほしいです。

相手は好調鹿島です。好調のチームを叩きのめして再浮上を目指しましょう!!

紹介しているのは記事の一部ですので、全文は引用元をご参照ください。

前節の浦和戦に敗れた神戸は、泥沼の4連敗で9位に後退した。3位・FC東京とは勝点7差。目標であるACL出場権獲得に暗雲が立ち込めている。

それどころか、J2自動降格圏内にいる17位・ガンバ大阪との勝点差は6にまで縮まっている。今節の鹿島戦の結果次第では、J1残留争いに飲み込まれる可能性も出てきた。連敗ストップ。それが神戸の今の命題である。

そんな厳しい状況に拍車をかけるように、フアン マヌエル リージョ新監督がいつからチームを指揮できるかが未だに不明のまま。林健太郎暫定監督の初采配となった前節の浦和戦は、イニエスタ欠場の影響もあるが、崩しの形が見えないまま90分が過ぎ、結局0−4と大敗を喫した。さらにイニエスタ先発落ち情報の漏洩問題で、右SBの高橋峻希が自宅謹慎中。ドタバタ状態のまま、2連勝で4位に浮上した好調・鹿島戦を迎えることになってしまった。

鹿島戦のイニエスタ出場が微妙な中で、神戸が活路を見出せるとすればサイドからの崩しか。浦和戦ではブロックを組んだ相手に苦戦し、中央突破がほとんどできなかったからだ。ウェリントンや長沢駿などエアバトルを得意とする選手もいるが、浦和戦と同様に単純なクロスが鹿島に通用するとは思えない。やはりサイドをえぐれる選手が必要になるだろう。

説明が長くなったが、つまり鹿島戦で救世主になれる存在は、スピードスターの藤谷壮(写真)である。

続き:J’s GOALニュース

試合前

試合中


https://twitter.com/ooooruk/status/1045940626091532288


https://twitter.com/ooooruk/status/1045943738659307520


https://twitter.com/minopan_vk8238/status/1045952513688518656


https://twitter.com/ooooruk/status/1045955895404843008

試合後

林健太郎監督

こういう状況にもかかわらず、たくさんサポーターが詰め掛けてくれたことには本当に感謝しています。期待に応えるような内容、結果ともに得られませんでしたけれども、次に向かってやっていくしかないので、切り替えてやっていきたいと思います。内容に関しましては、すごく良かったとは言えない、けど悪くもなかったという感触の前半で、2つ失点してしまった。簡単に失点してしまったというところは、少し試合を難しくしたなという印象があります。その後、後半、悪くない中で変化を加えていかなきゃいけないという部分に難しさはあったかなと思います。やっぱり鹿島アントラーズは隙のないチームで、まだまだウチはやることがたくさんあるなという印象です。

続き:ヴィッセル神戸公式

鹿島アントラーズ 大岩 剛監督

非常に締まった良いゲームだったと思っています。選手には「ディテールのところが大事だ」と送り出したんですが、しっかり守備からの攻撃、いろんなところ、局面局面で自分たちの判断をして、90分戦ってくれたと思う。非常に評価しています。

--過密日程で試合を進めているが、選手の使い分け、交代など気を遣っている?

これはケガ人も当然いますし、コンディションも日に日に違う選手もいます。無理してピッチに立ってもらっている選手もいます。報道に出ていないような、チーム内で情報共有しながら何がベストなのか、コンディションを含めて毎試合毎試合向かっているだけですね。それしかいまは。多分これは言ってもしょうがないですが、皆さんが思っている以上に選手はしんどいと思います。ただその中であれだけのパフォーマンスができる、続けてやることができるっていうところは本当に選手を褒めたいですし、評価している。スケジュールに関しては次の試合が決まっている状況なので、時間単位でリカバリーをしてキックオフ時間は今日は16時になりましたし、1時間単位で選手のコンディションを見極めないといけない状態。今後も続いていく過密日程の中で、選手をしっかり見て、メンバーを選びたいと思います。

引用元:Jリーグ公式

ヴィッセル神戸 試合後選手コメント

三田啓貴選手

-球際で負けてしまうのは、気持ちの部分に原因があるのでしょうか
中盤での球際と押し込まれてからのマークに付く方法は違うので、そこで当然頭を使わなくてはいけないし、マークを見なくてはいけません。さらに簡単にボールを上げさせてはいけないし、すべてが球際で勝つということではなくて、ポジショニングだったりをケアすることが必要です。簡単に失点してるようでは勝てないと思います。そこが自分達の課題です。

-チームとしてやろうとしていることは、監督が代わっても変わらず継続できていますか
もちろん監督が代わったことでやり方も変わってますけど、失点(シーンを)見てもわかるように、人数が足りてるのにやられている。最後の失点もそうですが、あれだけ人数がいても簡単に足を振らせてゴールを割らせるというのはありえない。一対一で負けてるようでは試合に勝てないと思います。

-後半の立ち上がりで攻撃的な部分がスムーズに感じられました、どう感じていますか
流れを変えないといけないと駄目だと感じたからです。既に二失点しているので自分も攻撃に出ていかないと状況は変わらないというところでしたが、結果がこのようになりました。今は勝点が欲しいので、(次節は)もう一度体を張って絶対に取りに行きます。

藤田直之選手

-チームとして新しいことをチャレンジして、自信を持つのが難しいような負け方になっている。この間もそうですし。

結果がついて来るのと来ないのでは違いますが、監督も代わって新たにチャレンジしているところです。でも、こんな大敗が許されるとは思っていませんし、そのスタイルを早く選手が吸収してピッチで体現できるようにしないといけないと思います。いつの時も結果を出さないといけない世界なので、体現して結果を出せるようにうやって行きたいと思います。

大﨑玲央選手

-試合を振り返って
結果としては情けないの一言です。ボールを保持して攻め込んでいくやり方、自分たちのサッカーにもなっていませんが、ボールをロストする回数や体で負ける回数が圧倒的に相手より多かったことが、負けにつながったと思います。

-相手が(ボールを)取りに来て引きつけて、裏のスペースを取ってサイドを崩そうとしていたと思いますが、チームとしてはどれくらい評価できますか。

アタッキングサードの崩しは今日はほとんどなかったと思います。サイドからのセンタリングぐらいしか攻め手がなかったと感じました。
もっと中での崩しを増やしていかないといけないですし、このようなサッカーをするとボールを取られることは必ずあるので、取られた瞬間にもっと切り替えを早くしたり、最悪ファウルでも止めなければと思います。守備陣としては数的不利でも止めなければならないですし、チームとしては相手のショートカウンターをもう少しなくしていければと思います。
今日は相手に負けない気持ちなども少し足りなかったのかなと思います。

-次節に向けて

プライドなど何もかも捨てて気持ちの部分では絶対に負けないよう、チーム戦術ももちろんですが、一人一人がチームのために這いつくばってでも勝利だけはもぎ取りたいです。

引用元:ヴィッセル神戸公式

古橋亨悟選手

--左サイドでの先発出場だったが?
前半は自分の出来も良くなかったし、右のほうで崩すことができていた。右で崩す流れになっていたと思う。相手のSBと駆け引きしようと思ったんですけど、うまく駆け引きができなかったのでボールが来なかったのかなと思う。(サイドに張っていたのは)ルーカス(ポドルスキ)のスペースを空けるという意味で張って、相手のSBを引き付ける意図があったけど、なかなかスペースが空かなかった。僕の動き出し次第では空いたかなと思う。

--後半は左サイドの躍動感も出ていたが?
こっちにもボールが来るようになってテンポよくパスも回せていた。そこでリズムが変わったかなと思う。

引用元:Jリーグ公式

鹿島アントラーズ 試合後選手コメント

【鈴木 優磨】
前半から全員で連動した守備を続けていたので、その結果として点を取れたと思う。これからも連戦が続くけど、全ての試合で勝てるようにみんなで戦っていきたい。

【セルジーニョ】
オープンな試合展開で、自分が入った時には3-0だった。次の1点を取れば試合を終わらせることができる状況だった。全員が「今、何をしなければいけないのか」ということについて整理ができていて、役割を果たせていると思う。

【中村 充孝】
みんながハードワークをして、勝利にこだわるという部分をしっかりと表現できたと思う。自分がどうこうということよりも、勝てるようにプレーしていた。今日は取るべき場面でしっかりと決めて勝てた。

【金森 健志】
聖真くんのゴールにしてあげたいと思いますけど…。やることははっきりしていたし、点差が開いていたので自分もゴールを狙うつもりでピッチに入った。状況を見ながらプレーして、最後までやり切ることを意識していた。

【レオ シルバ】
優磨が1対1になった状況で、かわせばチャンスになると思っていた。そこからスピードを上げて突破したので「これは行ける」と思ってファーサイドに詰めていったら、グラウンダーでこぼれてきた。打ちやすいボールだった。トレーニングの成果が出て、チームに貢献できていると思う。

【犬飼 智也】
このように大量得点を取れた試合で、ちょっとした隙が生まれて失点をしてしまうことはよくあるので、最後までゼロで抑えることができてよかった。しっかり守りながら攻撃に行けているし、攻めている時も準備ができている。2点目のアシストは練習の成果が出たので、すごく嬉しかった。

【町田 浩樹】
チームとして、展開を読みながら試合運びをすることができた。無失点の試合が続いていたので、自分が入っても継続したいと思っていた。競り合いは自分の特長だし、負けてはいけない部分。ウェリントン選手との競り合いでもしっかりと対応できたと思う。

引用元:鹿島アントラーズ公式

大敗を喫した試合ではあるが、これを振り返る上では二つに分けて見るべきだろう。
二つとは「失点前」と「失点後」だ。
今季最多タイとなる5失点を喫した試合でこういう物言いは、ともすると負け惜しみに聞こえるかもしれないが、失点を喫するまでのサッカーは、さして悪いものではなかった。
0-4で敗れた前節を受けて、特に守備の部分では改善が見られた。
相手が連戦とはいえ、連勝中と波に乗っている鹿島であることを考えれば、1週間でよくぞと思いながら見ていた。
しかし30分に最初の失点を喫すると、それまで見せていたサッカーが影を潜めてしまった。
これが連敗中のチームの哀しさなのだろうか。
残り時間を考えれば焦る必要はなかったのだが、選手間の連携を急速に失い、個々にボールにアタックする悪い流れに嵌ってしまった。
その後は自分たちのミスで失点を重ね、気がつけば0-5。
ポゼッション率こそ鹿島を上回ったが、チャンスらしいチャンスも創出できないままに試合を終えてしまった。
まずは改善すべき点から考えてみる。

 攻撃面で考えなければならないのは、全体の距離感だ。
特に失点後、顕著となったのは、前線に選手が不足している中でも、強引に前にボールを入れてしまう形だ。
守備に移行した際、ヴィッセルはウェリントンを前に残す場面が多かった。
そのため自陣ゴール前でボールを奪った際、そこにボールをつけようとするのだが、これはウェリントンの個性を考えればミスマッチだったと言わざるを得ない。
足もとでボールを収め、そこから縦に攻撃を仕掛けられるタイプのフォワードならばそれでも良いのだろうが、ウェリントンはそうではない。
ウェリントンの良さは上半身にある。
ハイボールに対しての競り合いや胸でトラップして味方に落とすようなプレーは得意なのだが、足もとでボールを収めるのは苦手な選手だ。
しかし傑出した高さがあるため、自陣で守備をする選手にとっては目標となってしまう。
ウェリントン自身も後方からのボールを受けるため、進行方向(相手ゴール)に背を向けてのプレーとなっているため、前を向いてプレーできる相手守備よりも不利な体勢となっている。
本来であれば、ウェリントンにボールを入れる際には、複数の選手が周囲に詰めた状態を作り出したいところだが、それを待つ時間を持てなかった。
そのため、自陣からのクリアが攻撃の始まりとはならず、鹿島のカウンターを許す形となってしまった。

 次に考えなければいけないのが、ルーカス ポドルスキの活かし方だ。
2トップの一角でスタートしたルーカス ポドルスキだが、失点後は低い位置でのプレーが目立っていた。
鹿島の攻撃を受ける際、自陣深くまで戻って守備をするわけではないのだが、前線のウェリントンとは距離があるため、ウェリントンに対するフォローとはならなかった。
ルーカス ポドルスキが低い位置に落ちていたのは、味方からのパスを受けて攻撃の起点となるためだったのだろう。
ウェリントンに入れるのと同じくらいの頻度で、奪ったボールをルーカス ポドルスキに預けるプレーも目立っていた。
ここでルーカス ポドルスキがボールを持つということは、ヴィッセルには二つの選択肢が生まれる。
一つはルーカス ポドルスキがボールをキープしている間に、ウェリントンを含む複数の選手が相手の背後を狙って走り、そこにボールを入れてカウンターからのゴールを狙う方法。
もう一つはルーカス ポドルスキを起点としてボールをつなぎながら、全体を押し上げつつ相手ゴールを狙う方法だ。
これがハッキリしていないため、折角ルーカス ポドルスキに預けても、結局はボランチとショートパスをつなぐだけになってしまっていた。
その間に鹿島は全ての選手が戻り、ヴィッセルの前にブロックを形成してしまった。
それを繰り返しているうちにルーカス ポドルスキは疲弊し、動きが落ちてしまい、攻守両面で浮き上がったポジションにいる時間が増えてしまった。
 この試合で鹿島守備陣が前に出てこれるようになったのは、ルーカス ポドルスキが下がってプレーする時間の増加と一致している。
それほどボールが入っていなくとも、広いシュートレンジを持つルーカス ポドルスキが前にいるという事実は、相手の守備陣を押し込んでおくだけの効果はある。
それを考えた場合、ルーカス ポドルスキが時間経過とともに低い位置でのプレーが増えることは得策ではないように思える。
理想を言えばウェリントンが相手ゴール前中央からサイドに相手守備を引き付けながら開き、中央にできたスペースにサイドからルーカス ポドルスキが走りこんでくるような形を確立したいところだ。
昨季から、ゲームメークを担うことの多いルーカス ポドルスキだが、そのプレーエリアは特に決めていないように見える。
それ自体は悪いことではないのだが、問題はルーカス ポドルスキが下がった際、前線での人数をどのように担保するかだ。
ここがはっきりしていないため、時間経過とともにゴール前が薄くなってしまっている。
 もう一点付記すると、この試合でルーカス ポドルスキが見せたパスワークは、近距離のものが多かった。
ボランチの位置まで下がったルーカス ポドルスキが大きくサイドを変えるボール繰り出すのはヴィッセルの一つの武器ではあるが、逆にその位置で近距離のパス回しに入ることには、それ程の意味を見出せない。

 攻撃に関してもう一つ言うと、根源的な問題ではあるが、ヴィッセルはアンドレス イニエスタの在・不在に応じた形を作らなければならない。
この試合の失点後、形を崩したと前に書いたが、アンドレス イニエスタがピッチ上にいたならばさほど問題にならない形だったようにも思える。
先述したウェリントンが孤立している問題でも、アンドレス イニエスタが中央でボールを触ることができれば、周りの選手がウェリントンをフォローに入るまでの時間を作り出すことができるだろう。
当然、ルーカス ポドルスキが下がってくる必要性もなくなる。
ここ2試合、チグハグにも見える戦いが続いているのは、アンドレス イニエスタ不在にもかかわらず、アンドレス イニエスタを活かす戦い方をしているためともいえるように思えるのだ。

 守備面でも問題が露見した。
 失点後、ヴィッセルの守備陣はボールホルダーへのアタックが増えていった。
それ自体は悪いことではないが、その際に周囲の選手との連携がないため、1対1の勝負の連続になってしまった。
そのため、ボールホルダー以外へのマークが甘くなり、結果的に人数は足りているが、守備が機能せず、失点を重ねていった。
コーナーキックからゾーンディフェンスの穴を衝かれた2失点目は兎も角、それ以降の失点は、前半30分までのヴィッセルならば難なく防いでいただろう。
 同時に予測して動くという、サッカーの基本もおざなりになっていた。
1ゴール1アシストを許してしまった鈴木優磨の動きなどは、それ程トリッキーなものではなく、直線的であったため、十分に予測できたように思う。
しかしそれが不足していたため、守備の裏に飛び出す動きに対して後手を踏み続けてしまった。
鈴木の動きに代表されるように、鹿島のサッカーは極めて教科書的だった。
運動量豊富なボランチを軸として、縦につなぎ、ペナルティエリア付近でコースを変えるというシンプルなサッカーであっただけに、ヴィッセルの選手ならば十分に対応できた筈だ。
 サッカーにおいてよく言われることだが、攻撃が直感的であるのに対し、守備は論理的に説明がつくものだ。
さらに守備は攻撃の始まりであるという鉄則に立ち返れば、失ったボールを前線から自陣まで追いかけてきてしまう動きなどは、それ程の意味がないことが判る。

 試合を決定付けてしまったのは3失点目のミスだった。
バックパスを受けたキム スンギュがボールコントロールを失い、鈴木にそれを奪われ、無人のゴールに流し込まれてしまった場面だ。
これなどは不注意というしかない。
試合序盤から鈴木はバックパスに対して詰めてきていただけに、少し注意していれば防げた失点だった。
これまで絶対的守護神としてヴィッセルのゴールを守り続けてきたキム スンギュだけに、この一度のミスを必要以上に責めるようなことはしたくない。
しかし絶対的な存在であるからこそ、ミスはチーム全体にショックを与えてしまう。

 ここまで試合の中で見られた問題点をいくつか取り上げてきたが、冒頭で記したように、失点するまでの戦い方は決して悪いものではなかった。
この試合ではコーチとしてベンチに入ったフアンマ氏だが、浦和戦からの1週間で修正を加えてきたのはさすがだと感心した。
攻撃面で目を引いたのは、ピッチ上のバランスの良い配置だ。
10分過ぎから失点を喫する30分まで、ヴィッセルの選手はピッチ上に均等に配置されていた。
試合後の会見で林健太郎監督は、4-4-2というフォーメーションの意図を訊かれた際、システムはスタート時の並びに過ぎないと答えていたが、これなどはフアンマ氏的な考え方だ。
大事なのは局面に応じた正しいポジションということになるのだろう。
先述した時間帯、ヴィッセルの選手は5レーンを意識した並びになっていた。
そのため4-4で守る鹿島のブロックに対しても、常にパスコースを複数確保できていた。
それがあったため、ブロックの外からしか攻撃できなかった浦和戦とは異なり、ブロック内部のバイタルエリアでボールを持つ場面も創り出せていた。
 日本サッカー協会会長を務めていた故・岡野俊一郎氏は、生前こんなことをよく口にしていた。
「サッカーで大事なことはコンビを作ること。コンビができたら次はトリオを作る。そしてカルテット、クインテットと、人数を増やしていけば多層的な攻撃ができる」
これは時代を超えて通用する金言だ。
この試合でヴィッセルの選手はコンビ、場面によってはトリオまではできていた。
最後の守備網を切り裂くためには、これをカルテット、クインテットへと高めていかなければならないが、ソロの多かった浦和戦を思えば、よくぞ1週間で原則を叩き込んできたものだと思う。
 フアンマ氏になり、ビルドアップの形も変わった。
これまではアンカーの藤田直之がセンターバックの間に入り、そこからビルドアップすることが多かったが、この試合ではキム スンギュがセンターバックの間からビルドップを始める形になっていた。
これはリーガエスパニョーラでよく見られる形だ。
これによって、ヴィッセルの攻撃は前に厚みを増していた。
10分から30分までは、大﨑玲央と渡部博文がハーフウェーラインを超えて持ち上がり、そこから縦にパスを狙うシーンが何度か見られた。
これはコンパクトな陣形を保ちながらの攻撃を可能にする。

 フォーメーションもフレキシブルだった。
スタート時の並びは4-4-2だったが、攻撃時にはウェリントンをワントップとした4-2-3-1的な形になっていた。
これによって鹿島のボランチにプレッシャーがかかっていたため、カウンターを許していなかった。
鹿島の守備が中央へ寄るとサイドを厚くして4-3-3へ、ルーカス ポドルスキを高く上げて4-4-2、ボランチを上げて4-1-4-1へといくつかの形を見せながら攻撃を続けた。
まだ未完成なため、せっかくの形が崩れてしまうこともしばしばだったが、成熟していけば実に面白い攻撃が見られそうだ。

 守備面では2トップが相手の最終ラインとボランチの間に入り、パスコースを切っていた。
さらにその二人を縦関係に保つことで、鹿島の守備にギャップを作り出そうとしていた。
これに連動して中盤は、ボールホルダーに対して数的優位を作るように動き、相手をサイドに追いやって囲んでいく。
最終ラインは、中盤で相手を追い込んでいる際はラインを崩し縦関係にして、一人が前で守備をし、もう一人がボールと相手の前線とのコース上に入る。
中盤が追い込みきらなかったときは、すぐに戻りラインを形成し、ゴール前を固める。
このように理論的に構築されていたため、30分までの守備は悪くなかった。
 この動き方は4-4-2で守る際の基本形とも言うべきものだが、理論的であるため、選手は局面に応じてポジションを変更し易い。
何度も繰り返しているように、この試合では30分以降、これを失ってしまったため、結果的に大敗を喫したが、フアンマ氏が作り上げようとしているものの一端は見ることができた。
そしてそれは非常に基礎的なものであるように感じた。

 組織を構築するとき、大事なことは「基礎の徹底」であるという話を聞いたことがある。
広岡達郎氏が、プロ野球の西武ライオンズ(現 埼玉西武ライオンズ)の監督に就任したのは1982年。
それからの4年間で3度のリーグ優勝と2度の日本一に輝き、これが1986年から始まる黄金期の基礎となった。
玄米食を強要するなど、管理野球の権化とも呼ばれることの多い広岡氏だが、その指導法は基礎の徹底にあったという。
1981年にプロ入りした石毛宏典氏などは、入団初年度に新人王に輝き、意気軒昂だったそうだが、初めて練習を見た広岡氏に「下手くそ」と痛罵された。
その上で守備時のグラブの出し方からスローの姿勢まで、徹底して基礎を叩き込まれた。
広岡氏に会うまでの石毛氏は、自分の技術に自信を持っていたが、いつしか基礎を疎かにしていたことを気付かされたそうだ。
その時の経験が、黄金期を支えた名手を生み出したのだ。

 この話を書いたのには訳がある。
今のヴィッセルは、サッカーにおける基礎を見失っているように感じるからだ。
今季ポゼッションサッカーに取り組む中で、選手個々の技術は上がった。
しかし同時に「ゴール方向に素早く攻める」、「選手間の距離を保つ」、「チャレンジ&カバー」といった基礎を見失っていることが、今の不調の原因であるように思われる。
 フアンマ氏は極めて論理的な指導をすることで有名だ。
浦和戦後、郷家友太が「肉体的には相手を疲れさせ、自分は頭が疲れるサッカーをしなさい」と言われたことを明かしていたが、これこそが日本サッカーとヨーロッパサッカーの差でもある。
かつて日本代表監督を務めていた故・長沼健氏が「日本人はダブルヘッダーでも戦えるよ。疲れているのは身体だけだからね。でもヨーロッパの選手は違う。彼らが一番疲れているのは頭だから、ダブルヘッダーなんて土台無理なんだよ」と話していたことがある。

続き:ヴィッセルViber公式アプリ


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