プレビュー
2連勝と好調のヴィッセル神戸。サンペールの加入でさらに魅力的なチームに
上々の滑り出し。前節のベガルタ仙台戦に勝利し、開幕3試合で2勝1敗のJ1リーグ5位。今シーズンのヴィッセル神戸は、開幕戦のセレッソ大阪戦は敗れたものの、翌節から2連勝。試合を追う毎に成熟度が増している印象だ。好調の理由はいくつか考えられる。第一は、MFアンドレス イニエスタのコンディションが“すこぶるいい”からだろう。昨シーズンは、FIFAワールドカップ™ロシア大会後の休暇を挟んでの来日で、しかも日本独特の蒸し暑さの影響もあって最初の数試合はピークパフォーマンスとは言えなかった。それでもJ初ゴール時のターンなど芸術的なプレーを連発できるのだから逆にすごいのだが、今シーズンはUSAツアー、沖縄キャンプからチームとともに歩み、うまくコンディションを合わせてきたと思われる。
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ヴィッセル神戸 試合後コメントピックアップ
リージョ監督
悪い試合ではなかったんですが、自分たちのいつものプレーができていたかというとそうではなかったと思います。少し短い時間でしたけどもゲームのコントロールを失った展開の中で、相手がいいプレーをして失点につながったのは残念です。そういった試合の展開ではありましたが、前川選手はじめ後ろの選手が厳しい状況の中でもしっかりと力を発揮してくれました。
ルーカス・ポドルスキ選手
-前半は周りの動きや、ジャッジにイライラしているように見えましたが、後半はそういうこともなくなったのはどのような切替をしたのですか。
審判の判定には多少そういう部分はありましたが、それ以上に我々のサッカーができなかったというのが前半の一番のストレスでした。後半は、前でプレスをかけてくるプレースタイルに慣れてきたのですが、先制点を取った後に我々も後ろに引き過ぎてしまいました。2点目3点目が取れたチャンスもあったので、もうちょっと違うサッカーをしていれば簡単に試合を運べたのではないかと思います。1-1という結果に終わってしまったのは課題ですし、それが勝点3になるようにがんばります。ダビド・ビジャ選手
-2試合連続ゴール中で相手の厳しいマークもありましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがでしょうか。
ゴールを決めた時もそうですがチームとしての事を重視して考えたいと思っています。チームとしてはいい試合ができたと思います。ただ相手もいい形でディフェンスをしてきてボールを奪ってからのカウンターも速くて、こちらも苦しんだところがありました。1点目を決めてそのリードを守りきる事が出来無かった事は残念に思います。オフの期間でチームとして力を蓄えて次の遠征に挑みたいと思います。山口蛍選手
-終盤オープンな展開になりすぎたと思うのですが。
攻められる時間はありましたが、中盤の2枚で対応できていた思います。そのフォーメーションを変えた中でも、いち早くボールをひろっていかなければならないと思います。相手チームに高さのある選手がいるので、サイドからクロスを上げられると想定されていたのに、簡単にクロスを上げさせてしまったのは、もっと寄せなければならなかったと思います。セルジサンペール選手
-今シーズンの意気込みはいかがですか。
個人的には自分本来のレベルを取り戻して、神戸でのプレーや生活を楽しんで周りの人に愛されながら過ごしていけたら、と思います。チームとしてはできるだけ高い順位、リーグ優勝という形で終えられるようにやっていきたいと思います。引用元:ヴィッセル神戸公式
清水エスパルス 試合後コメントピックアップ
ヤン ヨンソン監督
この試合に入っていくに当たって、守備をしっかりしていくべきだと思っていた。なぜなら、この前の(リーグ)2試合それぞれの後半からチームとして守備が崩れてしまい、失点もしてしまったので、先日のカップ戦、今日の試合は守備面の改善を念頭に置いて臨んだ。最終的に非常に求めた堅固なディフェンスは見せられた試合だったと感じる。
しかし、守備をしに、ここに来たわけではない。自分たちの持ち味である攻撃もしっかりやっていくよう選手に求めていた。その上で、選手は非常に早い切り替えの中から速攻の攻撃もしっかりやってくれていたと思うし、ボールを持ってしっかり握りながら、ボールを動かしての遅攻、相手を動かして崩していくことも、しっかりやってくれていたと思う。先に出た11人の選手も非常に評価できると思うし、途中から入ってきた3人の交代選手も良い役割を果たしてくれていたと思う。鄭大世選手
自分に自信がなかったりしても、試合にある程度出ることができれば得点を決められるんだなと思った。負けている状況で、しかも3番手の交代で、もう少し時間が欲しいと思ったけど、あのような形でゴールを決められて「時間じゃない」ということも分かった。今日の引き分けは大きいし、自分がベテランとしてチームを支えるというところで、最後に持ちこたえる助けができてよかった。
(シュートは)打った瞬間は外れたと思ったが、ボールがゴールに吸い込まれていった。ディフェンスに寄せられていたので腰が引けながら打ったが、上手く力が抜けていたと思う。コースを狙って決めるようなゴールはあまりないが、この状況で決められて良かった。
引用元:清水エスパルス公式
勝負において、ましてやプロの世界では、結果こそが最も大事であることは言うまでもない。
しかし、シーズンという長期的な視点の中で捉えたとき、最良の結果を得られなくとも意味を持つ試合というのはある。
ひょっとするとこの試合が、ヴィッセルにとってのそうした試合だったと言われるようになるのかもしれない。ここまでリーグ戦で当たったクラブは、ヴィッセルに対して特別な対策を施してきた。
対戦相手を分析し、それに備えるのは当たり前なのだが、ヴィッセルに対するそれは過剰なほどハッキリしているものばかりだった。
理由はもちろん、今季のヴィッセルが持つ破壊力にある。
ダビド ビジャとルーカス ポドルスキをアンドレス イニエスタが操るというだけでも相手にとっては十分に脅威だと思うが、ここに古橋亨梧、三田啓貴らが絡んでくる攻撃力が、Jリーグ屈指であることは言うまでもない。
開幕節で対戦したC大阪は5バックでゴール前を固め続け、鳥栖や仙台は重心を下げながら、イニエスタへのパスコースを切ることで対応してきた。
これらのチームは「守りきる」ということを最優先課題として、ヴィッセルに対してきたが、この日対戦した清水はやや様相が異なっていた。
守備重視というところまでは過去に対戦したチームと同じだが、重心の位置が違っていた。
清水は重心を落としすぎることなく、ヴィッセルに対して攻撃を仕掛けてきた。
清水は直近の2試合で9失点を喫していた。
前節の札幌戦の映像を見る限り、守備は全く統率されておらず、個々がバラバラに目の前の状況に対応しているようにしか見えなかった。
しかしこの試合における清水は、全く別のチームに仕上がっていた。
前からのプレスに加えて、ボールを奪ってからの速攻という意図がチーム内に共有されていたため、ヴィッセルにとっては思うような攻撃を仕掛けられない時間帯が続いた。
ひと言で言うならば、下がって守備をするのではなく、前に出てボールを奪おうということだ。
戦前、清水の選手からは「同じリーグで戦っている以上、(ヴィッセルの選手を)リスペクトし過ぎない」という言葉が多く聞かれた。
清水を率いるヤン ヨンソン監督も同様の発言をしていたことから、こうした精神的な部分までもが、チーム内で徹底されていたことが判る。
逆説的に言えば、清水を立て直したのはヴィッセルだったとも言える。
破壊力のあるヴィッセル攻撃陣と対するという事態が、チーム内を纏め上げたのだろう。
能力の高い選手が揃ったヴィッセルには、今後も対戦相手が100%以上の力を出して向かってくるということを肝に銘じておかなければならない。
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