【9/1 第25節】札幌vs神戸 「(3点目のシーンは)ルール上はOKかもしれないけれど、今までに見たことのないシーン(吉田監督)。」

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ACL圏内となる3位まで間近に迫っている札幌と神戸。上位対決を制してさらなる浮上を実現するのはどちらか?

明治安田生命J1リーグ第25節の北海道コンサドーレ札幌とヴィッセル神戸の一戦が9月1日に札幌ドームで開催する。

その差は2ポイント。4位と5位の直接対決はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)圏内浮上を実現するうえでどちらも落とせない戦いとなる。

■札幌のキーマンは3戦連発中の都倉賢

札幌は現在4試合無敗の2連勝中。その連勝した2試合はいずれもリードされながら試合をひっくり返す力強いゲームを見せている。

前々節はFC東京と対戦。前半に2点を許す苦しい展開も都倉賢のダイビングヘッドで反撃の狼煙を上げると、白井康介の強烈な一撃ですぐさま同点に。

そして72分、チャナティップが豪快なミドルを沈めて逆転。2点ビハインドをひっくり返して白星をつかんだ。

その勢いはとどまることを知らない。清水エスパルスと対戦した前節は、セットプレーから宮澤裕樹の不運なオウンゴールで先制を許しながらも、36分にその宮澤が名誉挽回の同点弾。後半に入るとミハイロ・ペトロヴィッチ監督はマエストロの小野伸二が途中投入されると、早速存在感を発揮。中盤でボールを受けると、前線の都倉にラストパスを出し、逆転ゴールをお膳立て。こちらもFC東京戦に続いて勝負強さをまじまじと見せつけた。

続き:Goal.com


試合前


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試合中


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試合後


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吉田孝行監督

残念な試合になりました。立ち上がりからもう少しファーストディフェンスを強めて相手の対角線のボールをケアしたかったのですが、ファーストディフェンスが緩く大きく振られてそこからクロスを上げられて何度もピンチを招いたことで、リズムがおかしくなっと考えています。

徐々に試合にも慣れてきて自分達のリズムで行けるかなと感じた矢先に退場が出てしまいました。

後半は10人になったので、色々システムに手を加えながらやりましたけれども、残念な結果になったと思います。

レッドカードのシーンも、イエローにも見えましたが、そこは映像を見ていないのでなんとも言えません。

三点目に関しては、笛が鳴ってレフェリーがプレーを止め、相手も水を飲んで、うちのキーパーも壁を作っている段階で始めるというのは、ルール上はOKかもしれないけれど、今までに見たことのないシーンでした。

笛が鳴っていなければそういったシーンはよく見ますが、笛の再開を早くするのは見たことがない。そこはどうなのかなと思います。

―ポドルスキ選手の左サイド、郷家選手の右サイドという意図は

特に右側に郷家選手を置くことによって、相手の福森選手に対角線のケアをさせたかったという点です。この間の試合でも郷家選手は裏を走っていたので、そういうイメージでスタートしました。

―天皇杯から三連敗、打開策は

まずは自分たちのサッカーが全然出来なかったというところで、もう一度自分たちの良いサッカー、ボールを繋ぐサッカーを出来るようにすることが大事だと考えています。守備の整理も必要になってくるでしょう。

引用元:ヴィッセル神戸公式

コンサドーレ札幌 ペトロヴィッチ監督

難しいゲームになると思っていました。しかし、立ち上がりから前からプレスを掛けるアグレッシブな試合ができました。

そこで先制し、後半にもチャンスをいくつも作っていました。前半の終わりに相手に退場者が出て、後半も良い入りができて、そこで2点目を取りました。

数的優位に進めていく中で、若干、選手たちが慎重になっていたと思います。ただ、そこから選手たちは落ち着いて戦ってくれました。

後半に関しても、もう1、2点取れるチャンスはあったと思います。ただ、2点リードした状況では3、4点目を狙ってほしかったのですが、日本での典型的な試合をしてしまったと思います。しかし、選手はよく戦ってくれました。

今日のゲームというのは非常に大きな勝利でした。なぜならば3万人超のサポーターが詰めかけた中で勝利ができたというのは、応援してくれる人の期待に応えることができたと思います。

普段から素晴らしい後押しをしてくれているサポーターに感謝をしています。チームからは、何がなんでもホームで勝つという気持ちを感じましたし、サポーターにも感謝したいと思います。

--守備の狙いについて。

24節戦ってきて、相手の戦い方について時間を割いてトレーニングをしたというのは、この試合が一番長かったです。

そうした中で、選手たちが準備をしてきたことをピッチで表現してくれた。それがうまく表現できたと思います。

--上位で争えるチームを1年目から作れる予想はしていたか。

私は監督としてでなく、人生観として常にポジティブに考えています。そして選手に対しても高い目標を持つように指導しています。

まだまだ試合はありますが、現時点ではACLの出場権を争える位置にいます。ただし一方で、選手たちはこの順位を戦うことに対する経験がないのは事実です。

今までは「札幌ならば勝てるだろう」と思って挑んできた相手も多かったと思います。

ですが、ここから先に起こることは、相手が戦い方を練ってきたり、強い気持ちで挑んでくる。そうした試合が増えることです。

順位表を見ると、広島が最も負けていないチームです。その次に負けていないのは川崎とわれわれです。

われわれはなかなか負けないチームになっています。われわれは追っていた立場から追われる立場にもなります。

その中で終盤戦を戦っていくわけですが、今後、その辺りのメンタルの準備をしていかなければいけないと思います。

その中でAマッチウィークを迎えますが、非常に良いタイミングで迎えることができたと私は思っています。

やはりプレッシャーというものが増していくことでしょう。それに打ち勝つこと。次は川崎戦が待っています。

ここからさらに上に行くには、川崎にも勝たなければいけません。そうしたプレッシャーがある中でどう戦っていくか。非常に面白い課題だと思っています。

--相手にはビッグネームがいたが、どういうことを試合前に植えつけたか。

私は、ほとんどの人とは違ったサッカーの見方をしています。サッカーは個人競技ではありません。

コレクティブな戦いです。ビッグネームがいると、チームが機能しないというのはサッカーの世界ではよくある話です。

札幌にはそうしたスター選手はいませんが、われわれには個々が役割をまっとうする“チーム”があります。

もちろん、相手のビッグネームには個のクオリティーがあります。ですが、私は“チーム”としてのクオリティーで対応していきます。

これまでは“チーム”として五分の戦いをしてくることができました。90年代に素晴らしい選手たちがJリーグにはいましたが、その頃といまのJリーグとは異なります。

個の力がある選手が2、3人いれば優勝争いができる。それが過去のJリーグだったと思います。

私は12年前から日本で仕事をしていますが、そのころと比べて日本のサッカーは大きく成長していると思います。

かつては有力な外国籍選手に対して日本人選手が臆していたようなところがあったと思います。

ですが、今日ご覧になったように、われわれの選手は(アンドレス)イニエスタ選手や(ルーカス)ポドルスキ選手に対して恐れることなくプレーをしてくれましたし、自信も持てたと思います。

それが示すように日本人選手というのは成長していると思います。神戸も彼らがいるからといって優勝できるとは限らない。

特定の強力な選手がいるチームが優勝できるというのは過去の話だと思います。

日本の指導者は勤勉で、それを選手に還元し、レベルアップにつながっていると思います。

有力な外国籍選手を機能させる日本人選手がいなければ、そのチームが勝っていくのは難しいと思います。

各チームの監督は素晴らしい資質を持っていると思いますし、私自身が彼らを見て思うのが、日本人の監督は負けることを非常に恐れているように感じます。

その部分が妨げになっているように思います。これからのサッカーの方向性は、いかに相手よりも1点多く取るか、そこに進んでいくことと思っています。

相手に良さを出させず、1点でも上回る。お互いが点を取り合うサッカーが観衆を魅了すると思いますが、そうした価値観を広めていくのがメディアの皆さんのお仕事だと思いますし、皆さんの記事を読んで新たな価値観を多くの人が気づいてくれると思っています。

もちろん守備に対する美学、価値観は分かります。しかし、守備的な0-0のゲームは決して面白いものではありません。

引き締まった試合として評価されるメディアも多いとは思いますが、観に来ている人は点の取り合いを楽しみにしているのではないかと私は思っています。

徐々にそうした変化も感じていますし、そうした方向に日本サッカーは動いていくのではないかとは思っています。

ただし、日本という国の価値観というのは、大きく動くことはなく、少しずつ動いていきます。ですが、そうした価値観の変化があるならば、すごく良いことだと私は思っています。

日本は外国籍選手への期待は高いとは思いますが、私は日本人選手がもっと評価されてもいいと思います。

われわれのチームにはたくさんの良い日本人選手がいるので、より彼らに注目をしてほしいと私は思っていますし、日本人選手の活躍が日本のサッカーを強くすると思います。

“札幌のイニエスタ”をもう皆さんは長く見ているのではないのですか?チャナティップはイニエスタのようなプレーができる選手です。

チャナティップはすでに1年札幌でプレーをしていますが、彼はイニエスタ以上に注目してよい選手だと思っています。

引用元:Jリーグ公式

藤谷壮選手

-今日の試合の振り返りをお願いします

守備の場面で裏を取られる事がありました。そこは改善していかないといけないです。

数的不利の中でやっぱり点が欲しかったので、仕掛けの部分では少しはできたと思います。

-復帰戦でしたが問題はありませんでしたか

はい、大丈夫です。今週が復帰だったので90分の出場は難しい中でベンチメンバーには入りたいと思っていました。

後半から出られてプレーができた事によって少し自信になりました。サイドバックの仕掛けのところでチャンスを作りたかったです。自分の長所を活かしていきたいです。

長沢駿選手

ー一矢報いたゴールになりましたが

そうですね。1人少なくなり、苦しい状況になりましたけど、ハーフタイムに下を向かず皆でやれるという話をしていました。

1点を取れば(試合展開が)変わるという話もしていました。そこで2失点目してしまいましたけど、1点取りに行けて、追い付く可能性も出てきた状況で、3失点目をしてしまい、もったいない試合でした。

ー移籍しての初ゴールですが

前節にチャンスで決められなかったので、今日は必ず点を取ってやるという気持ちで臨みました。

この次は勝利に導けるようにゴールを決めていきたいです。

ー自分の持ち味を活かされている

欲しいタイミングでボールをもらえることが多いです。今日もゴール前でルーカスからのボールをフリックして、三田選手に落としたボールなどは、皆が(同じプレーを)感じてくれていてやりやすいです。

ああいうチャンスが増えてくれば攻撃に厚みが出てきます。

引用元:ヴィッセル神戸公式

コンサドーレ札幌 選手コメント

菅 大輝選手

これだけたくさんのファン、サポーターの方が集まってくれたことに感謝しているし、その中で勝利という結果を得ることができて本当にうれしく思っている。

内容的にはまだまだ課題があるが、いまの勢いを保ちながら、今後の試合に向けて良い準備をしていきたい。

得点の場面については、過去の試合でも何度か同じようなチャンスがあったので、今日の試合でも信じて待っていた。

そこですごく良いパスが来たので、決められて本当に良かったと思っている。ACL出場権を得るためにも、このままチーム一丸となって戦っていきたい。

宮澤 裕樹

チームとしてやるべきことをしっかりやって、規律を守った中でそれぞれが力を発揮したことが勝因だと思っている。

相手の神戸にはスーパーな力を持った選手がいたが、それに対してはチームとしてしっかりと応対ができたと思っている。

集中した、良いゲームができたと感じている。ただし、この試合でもセットプレーから失点をしてしまったし、良いゲームをしたからこそ、そこからもしっかりと課題を見つけて改善をしていきたい。

次節まで時間があるので、良い準備をして川崎戦に挑みたい。

引用元:Jリーグ公式

試合後、札幌のエース・都倉賢は「彼らが何をしたか、印象に残ったお客さんはいないと思います」と語った。
ここでいう彼らというのは、もちろんアンドレス イニエスタとルーカス ポドルスキのことだ。
世界の頂点を極めた両選手を一目見ようと、札幌ドームに詰め掛けた観客数は32,475人。
今季一番の大観衆の前で、ヴィッセルは札幌にその攻撃力を封じられ、完敗を喫した。

 この試合で顕在化したヴィッセルの問題点は2つある。
1つは『スピード不足』だ。
試合を見ていた方は感じたかもしれないが、この試合でヴィッセルが見せたパスは総じてスピード感のないものばかりだった。
湘南戦がそうだったが、今のヴィッセルと対戦するチームは、ボールホルダーに対して強くプレスをかけ続ける戦い方を見せる。
この日の札幌も例外ではなかった。
試合後の監督会見の中で、札幌を率いるペトロヴィッチ監督が「ここまで24節戦ってきて、相手の戦い方について時間を割いてトレーニングをしたというのは、この試合が一番長かったです」と語ったように、ヴィッセルのパスサッカーに対する対応は、各チームとも徹底している。
そこに共通しているのは、ある程度ファールが増えることも厭わないという姿勢だ。
これを受けるヴィッセルに求められるのは、相手のプレスを掻い潜りながら攻める技術だ。
そこで最も必要なのは、相手が守備に戻るスピードよりも速いパスワークなのだが、ここが欠けていた。
この試合でヴィッセルの選手は、相手のプレスを掻い潜ることのみに重きを置いていたようにさえ見えた。
このためパスをつなぐことはできても、その多くは相手の守備ブロックの手前であり、組織を寸断することにはつながっていなかった。
その中で後ろ向きにパスを受ける選手が徹底して狙われ、背後からボールを突かれ続けた。
札幌の選手は前を向いて守る時間が長く、味方のプレスによってヴィッセルの選手の足もとからボールが離れた瞬間に、ボールの位置に複数の選手が走りこみ、そこからのショートカウンターを仕掛け続けた。
そのためヴィッセルの選手はボールを前に運んでも、そこから守備に戻らされることを繰り返す中で、自分たちのリズムを作り出すことができないままだった。

 シーズン前に三浦淳寛スポーツダイレクターが目指すと宣言したのは「主導権を握るサッカー」だった。
ポゼッション率の高さはその指標のひとつとはなるが、決してそれは主導権を握ることとイコールではない。
この試合でも最終的なポゼッション率はヴィッセルが上回ったが、試合の主導権は終始札幌に握られていたことが、その証左だ。
「主導権を握る」上で考えなければならないのは、ヴィッセルのサッカーがどこに主眼を置いているかということだ。
サッカーを語る上で「攻撃から守備」、或いは「守備から攻撃」という言い方が頻出する。
これは一見同じことを言っているようだが、実はそのニュアンスは間逆だ。
チームの基本をどこに置くかということを同義であるためだが、その意味で今季のヴィッセルが「攻撃から守備」のチームであることは明らかだ。
07年~08年に松田浩元監督が作り上げたチームなどは、この逆で「守備から攻撃」のチームだった。
あの当時、松田元監督が勝利した試合の後で「良い守備ができていたから、効果的な攻撃ができた」と語っていたことを思い出すと解り易くなるだろう。
この日の試合後、吉田孝行監督は「守備が巧く嵌らなかった」と語っていたが、それは取りも直さず、「良い攻撃」ができていなかったからだ。
相手を攻め続けることで「主導権」を握るヴィッセルのサッカーにおいて、守備に戻る時間は限定的になる。
ここで言う守備とは、ボールを奪われた際に、すぐに奪い返しに行くことであり、チーム全体が後ろ向きに走り続けることではない。
この試合では札幌を攻め続けることができなかったため、ヴィッセルのサッカーが「守備から攻撃」になってしまった。
これでは、自分たちの望むリズムは作り出せない。
天皇杯を含めると公式戦3連敗となってしまったが、それについて質問された吉田監督は「もう一度自分たちの良いサッカー、ボールを繋ぐサッカーを出来るようにすることが大事だ」と答えていたが、これを取り戻すためには、走る相手よりも早くボールを動かしていくという意識を徹底しなければならない。

 もう一点これに関連して言うと、やはりボールを動かす方向にも拘ってほしい。
この試合でヴィッセルのパスは、縦よりも横に動くことが多かったように感じた。
相手の守備が縦方向だったため、それをかわそうとした結果だとは思うが、結果として全体が低い位置でのプレー中心になってしまった。
このためボールを奪っても、相手の裏を狙う動きはあまり見られないままだった。
どんなサッカーを志向するにせよ、ゴールを目指す縦に早い攻撃が基本形となることは変わらない。
これがなければ、相手に怖さを植えつけることはできず、結局は「ボールを持たされる」サッカーになってしまう。
この試合で言うと長沢駿や郷家友太といった、相手の背後のスペースに飛び出せる選手もいたため、そこを使うことで札幌の守備を間延びさせることができただろう。
そうした状況を作り出して初めて、パスで相手を崩すことができるようになる。

 2つ目の問題点は、攻守の切り替えが遅いということだ。
特にネガティブ・トランジションと呼ばれる、攻撃から守備に転じるときのスピードが不足していたように思う。
ヴィッセルが目指すサッカーにおいて、このスピードは絶対的に必要になる。
それこそFCバルセロナは、この速度の早さが優れたチームだ。
相手にボールを奪われた瞬間、奪い返しにいけるため、結果として高い位置からの攻撃が可能になっている。
2015年のUEFAチャンピオンズリーグ決勝でユヴェントス相手に見せた戦いなどは、その典型といえるだろう。
この試合では大方の予想通り、ポゼッションを高めるバルセロナに対して、ユヴェントスは前からのプレスを敢行することで対抗した。
ここでバルセロナが見せたネガティブ・トランジションは効果的であり、カウンターを狙うユヴェントスの出足を悉く潰しながら、試合を支配し、史上初の2度目の欧州三冠を達成した。
因みにこの試合でMOMに選出されたのは、我らがアンドレス イニエスタだった。
 ヴィッセルに話を戻すと、ボールを奪われたときの対応で後手を踏んだ試合では、思うような試合運びが出来ていない。
この試合でもそこが徹底されていなかったため、札幌にゴール前までボールを運ばせてしまった。
その結果、ボールを奪い返してもゴールまで長い距離を残しているため、攻撃を組み立て直すところからのスタートとなってしまった。
 攻守の切り替えというと、意識付けの話と勘違いされがちではあるが、実はこれこそ守備面での技術が求められる高度な部分でもある。
その意識があっても、相手から効果的にボールを奪う技術がなければ、結局のところファールで止めることになってしまい、相手にセットプレーを与えてしまうからだ。
ボールを奪う技術は、攻撃的なサッカーを展開する上で必要不可欠な要素ではあるが、一朝一夕に身につくものではない。
最初は相手の走路を塞ぎつつ、パスコースを切ることから始めるのが一般的だ。
それをチーム全体が連動して行うことができれば、1対1の守備技術に依存することなく、ボールを奪う可能性が高くなる。
まずは、そこから徹底していくのが良いように思える。

 この試合でヴィッセルの選手たちは、役割分担が明確でなかったように思えた。
例えばルーカス ポドルスキだが、プレーエリアが低かったように思えた。
ルーカス ポドルスキが、低い位置からボールを散らすことができるのは、昨季のプレーからも解っている。
さらにアンドレス イニエスタの近くでプレーすることで、そのマークを分散させる効果があることも解る。
しかしルーカス ポドルスキが高い位置に進出することで、相手守備陣に対して恐怖感を与えることができるのも、また事実なのだ。
ルーカス ポドルスキのシュート力や突破力は、相手チームの誰もが理解しており、それを警戒している。
この試合の札幌のように、ある程度相手の位置が低い場合は、ルーカス ポドルスキが前でプレーするのも効果的なように思えるが、そこがはっきりとしていなかったように見えた。
 同様に三田啓貴の役割も不明瞭だったように思う。
アンドレス イニエスタが加入するまでは、ゲームメーカーとしてプレーすることの多かった三田だが、今求められている役割は前線でのリンク役なのではないだろうか。
前線が整理されていなかったため、余計に目立たなかったという一面もあるだろうが、動きながらボールを握ることができる三田の良さが、十分に発揮されていたようには見えなかった。
三田には前線に近い位置でボールを受けながら、長沢や郷家、ルーカス ポドルスキを呼び込む動きをもっと見せて欲しい。
そのためには、全ての選手が基本となる役割を理解している必要がある。
ルーカス ポドルスキの退場によって10人になってから、やれることが限られ、結果的にそれまでよりもボールが動いていた事実は、技術以上に選手の役割分担が大事であることを示しているのではないだろうか。

 この試合でキーマンとなっていたのは、左サイドバックで先発したアフメド ヤセルだった。
この試合を見る限り、その良さはセンターバックでこそ活きるように思えた。
吉田監督とすれば、サイドアタックをストロングポイントとしている札幌の攻撃を防ぐためにも、守備に強さのあるアフメド ヤセルをサイドバックで起用したのだろうが、連携不足の感は否めなかったように思う。
最初の失点シーンでは、自陣からのロングボールをヴィッセルの左サイドで受けた早坂良太に対してアフメド ヤセルが寄せたところでフォローに入ってきた駒井善成に繋がれてしまった。
結果的に、この駒井からのクロスがアシストになってしまったのだが、ここでアフメド ヤセルと周囲の連携不足を感じた。
アフメド ヤセルの対応そのものは教科書どおりであったが、上がって来た駒井に誰もマークが付いていないことを確認できていなかったのが悔やまれる。
駒井を背後から追走したルーカス ポドルスキが到着するまで、早坂にボールを持たせた状態を作り出すことができれば、防げた失点だったようにも思える。
ルーカス ポドルスキの戻りが遅かったという見方もあるが、その特徴を把握しているティーラトンや橋本和であれば、早坂に持たせることで時間を作ったのではないだろうか。
またルーカス ポドルスキの退場を呼び込んでしまったのも、アフメド ヤセルのスローインからだった。
ルーカス ポドルスキを狙ったスローインが長く、深井一希に渡ってしまった。
これを奪い返しにいったルーカス ポドルスキのプレーに対して、レッドカードが提示された。
決して難しいスローインではなかったが、この場面でのアフメド ヤセルは集中を欠いていたように見えた。
周囲との連携が求められるサイドバックというポジションをこなすには、聊か時間が足りなかったように感じられた。
とはいえアフメド ヤセルの能力には、間違いがない。
人への強さだけでなく、足もとでボールを握る技術もある。
パスセンスも高いものを持っているだけに、チームにとって大きな戦力であることは間違いない。

 完敗を喫したとはいえ、収穫も二つあった。
一つは藤谷壮の復帰だ。
後半開始からピッチに登場した藤谷だが、縦に早いプレーは健在だった。
右サイドの槍となれる藤谷の復帰が、ヴィッセルの攻撃を活性化することは間違いない。
久々の試合とは思えない動きを見せ、リーグ戦終盤の切り札となるように感じた。
そしてもう一つの収穫は、長沢にゴールが生まれたことだ。
右コーナーキックをヘディングでシュート、相手GKが弾いたボールを落ち着いて自らゴールに蹴りいれた長沢は、この試合でも存在感を見せた。
ポジショニングを含めた動きに良さがある選手であるだけに、一つのキッカケがゴール量産につながる可能性は高い。
このゴールで緊張が解ければ、ここから本領を発揮してくれるだろう。
足もとの技術も高く、ボールの収まりも良い選手であるだけに、ここを巧く使うことができれば、得点力は大幅にアップする。

 この試合では、審判についても触れておかなければならないだろう。
悪い意味で「審判が目立った試合」となってしまったのは、昨日Viber公開トークで配信した速報版にも書いた通りだ。
前半のアディショナルタイムにルーカス ポドルスキに提示されたレッドカードだが、これはいくつかの見方ができる。
深井に対するルーカス ポドルスキのスライディングは背後からであり、深井の足首付近に入ってしまったことは事実だ。
こうして文字情報にしてしまえばレッドカードは妥当に思えるかもしれないが、決して意図的なプレーでなかったことは間違いない。
前半のうちに一人少なくするということは、試合の趨勢を定めてしまうことと同義でもある。
誰もが認める悪質なプレーならば兎も角、そうでないプレーに対して躊躇なくレッドカードを出す捌き方には疑問が残る。
 74分に、アフメド ヤセルに対して提示されたイエローカードにも疑問はある。
その直前のプレーでアフメド ヤセルのファールに対して、池内氏はイエローカードを出しかけていたのだが、札幌がクイックリスタートを選択したため、そのカードを一度はしまっている。
その後、プレーが止まった時点でアフメド ヤセルにイエローカードが提示されたのだが、協議規則に拠れば「主審が警告または退場と判断した場合、懲戒処置を執行し終えるまでプレーを再開させてはならない」とある。
例外としては「警告や退場となるべき反則に対して、主審がアドバンテージを適用したとき、この警告や退場処置は、次にボールがアウトオブプレーになったときに行われなければならない」とあるが、アフメド ヤセルのケースは、アドバンテージによるプレー続行ではないため、札幌のリスタートを認めた時点で、アフメド ヤセルのプレーに対しての警告はできない筈ではないだろうか。
もし筆者が考えているプレーに対しての警告でないのであれば、一体どのプレーに対する警告だったのだろうか。
これも疑問の残る点だ。
 そしてこの試合で最大の問題は83分に起きた。
札幌にフリーキックが与えられたのだが、ヴィッセルの選手が壁を作っている最中に池内氏はプレー再開の笛を吹いた。
これがルール上問題ないことは承知している。
しかし現実問題として、守備側が壁を作っている最中に再開させるのはあまりに乱暴な試合運営なのではないだろうか。
筆者の知人の一人は、ヴィッセルの選手がボールの傍に寄ってキックさせないようにすべきだったと言っていたが、これは頓珍漢な意見だ。
ファール直後に、池内氏はバニシングスプレーでボールの位置、ヴィッセルの守備位置をマークしており、そこでボールの近くになど寄っていけば警告対象となることは明白だからだ。
この池内氏の判断は、選手と審判の信頼関係を揺るがしかねない。
これが認められるのであれば、フリーキックに際して壁を作ることは不可能になる。
温厚な吉田監督が試合後の会見の中で、この運用には疑問を呈した。
キム スンギュは「これまで判定に不服を感じたことはなかったが、これだけは納得いかない」と話し、長沢は「壁を作っているときに鳴らされたら、やりたい放題だと思いますけどね」と疑問を呈した。
ヴィッセルが一人少ないながらも1点を返し、反撃ムードが高まった中でのプレーだっただけに、これが試合を決定付けてしまったと言えるだろう。
 試合後、この一連のプレーを受けて三木谷浩史会長はViber上で、審判のレベルアップの必要性に言及した。

続き:ヴィッセルViber公式アプリ


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